多民族共生のフィジーにおける宗教関連行事まとめ(預言者生誕祭・ディワリ)
フィジーは、フィジー系、インド系など様々な民族が共生している国であり、民族によって信仰している宗教が異なります。キリスト教徒、イスラム教徒、ヒンズー教徒が多く生活しているフィジーでは、それぞれの宗教に関連する行事のある日は祝日となり、各地で祭典が行われます。
フィジーの11月には、イスラム教徒とヒンズー教徒にとって最も重要な宗教行事があり、祝日として国全体がお祝いムードとなります。それぞれの宗教を信仰していない人々であってもお祝いをしており、参加することのできる行事が多くあります。
今回の記事では、イスラム教徒やヒンズー教徒にとって重要な祝日における現地の人々の過ごし方、そしてそれぞれの宗教を信仰していない人々も参加することのできる祭典や行事について紹介します。宗教に馴染みのない日本では行われない祭典もこれらの祝日で行われており、機会があればぜひ参加してみてください。
目次
フィジーの祝日(11月)Prophet Mohammed’s Birthday
フィジーの11月にある祝日でイスラム教徒にとって重要であるのは、Prophet Mohammed's Birthdayです。この日は、イスラム教開祖であり、預言者ムハンマドのヒジュラ暦による誕生日に行われるイスラム教最大の祭礼です。
ムハンマドの死去後、ムハンマドの後継者をムハンマドの子孫ではなく、能力で決めるべきと考えたスンナ派とムハンマドの子孫がふさわしいと考えたシーア派の間でムハンマド生誕の日は違っており、スンナ派がラビー・アル=アウワル月12日、シーア派は5日後の17日としています。スンナ派が主流のフィジーではラビー・アル=アウワル月12日を生誕の日とし、祝日となっています。
変動制の祝日
ヒジュラ暦の一年は354日であり、我々が普段使用しているグレゴリウス歴の一年が365日で一年に11日の差があるため、この祝日は年によって日付が変動するものとなっています。直近でいえば、2020年は11月2日、2021年は10月18日が祝日となっています。
フィジーにいるイスラム教徒は全体の約6〜8%に過ぎません(詳しくはこちら)が、Prophet Mohammed's Birthdayがイスラム教徒にとって重要な日となっているため、フィジーの公式の祝日となっています。この祝日では、他の祝日同様ほとんどの仕事や学校が休みとなり、ほとんどの国民にとって休息日となっています。
フィジーにおけるProphet Mohammed’s Birthdayのお祝い
フィジーに住むイスラム教徒は首都のスヴァがあるビティ・レブ島ではなく、主に北部のバヌアレブ島に住んでいます。
そのため、Prophet Mohammed's Birthdayのメインのお祝いはバヌアレブ島最大都市であるランバサのモスクにイスラム教徒が集まり、行われます。 フィジーでは、複数のムスリム連盟が主導してお祝い行事が行われており、フィジー各地にあるモスクやイスラム教徒の各自の家でお祝いをします。 モスクには、イスラム教徒からの食べ物や既製品の寄付が集まり、全体的に装飾されてお祝いムードとなっています。
家では、親が子どもたちに対して預言者ムハンマドが歩んできた人生について描かれている本や詩を読み、預言者ムハンマドの偉大さを親から子へと伝承しています。 モスクなどで行われている祭典に参加せずに家に一日居続けるイスラム教徒もおり、教えが書かれているコーランを読みながら断食を行い、イスラム教への忠誠を誓います。
(参照:FIJI SUN ONLINE 場所:フィジー、ランバサ)
フィジーの祝日(11月)Diwali
キリスト教に次ぐフィジー人口の約40%(インド系住民がほとんど)を占めているヒンズー教徒にとって重要な祝日は、 Diwaliです。別名「光のフェスティバル」とも呼ばれ、ヒンズー教徒にとっての新年を意味します。フィジーでは、ヒンズー教徒以外の人々もお祝いをします。
ヒンズー教徒がほとんどのインドでは、地域によってお祝いの仕方が違っており、イギリスによる植民地時代にフィジーに契約労働者としてインドの様々な地域からやってきましたが、現在のフィジーではお祝いの仕方が国全体で統一されています。
(お祝いの仕方は後に記述します) Diwaliの時期は、フィジー全体が祝福ムードとなり、数多くある祝日の中でも最も重要な祝日の一つであるとされています。
ほとんどの会社や学校が休みとなり、お店も閉まっていることがあります。
フィジーにおけるDiwaliのお祝い
Diwali直前には多くのヒンズー教の人々が肉の断食を始め、家では幸運と繁栄の女神であるラクシュミに対するお祈りの儀式が行われます。
Diwali当日には、家やお店に飾られたイルミネーション及びろうそくが夜にライトアップされ、街中で花火が夜空を舞います(花火の場所は特定の場所からではなく、住宅街の中の空き地や庭からも含め様々な場所から花火が打ち上げられています)。
多くの人々が家族や友達と集まりながら、お酒を飲んだり、伝統料理やお菓子を食べ、プレゼント交換をしています。ヒンズー教徒にとっては新年であるため、今まで使ってきた古いものを新しいものへと変える時期であり、街中にあるお店で新しい服や電子機器などを購入しています。
複数の学校では、Diwali前後にお祝い行事を学校内で行い、子どもたちに社会的、文化的側面におけるDiwaliをお祝いすることの重要性を教えています。お祝い行事では、歌を歌ったり、クイズを出したりし、他の宗教について理解し、尊重する機会を提供しています。 Diwaliでは先ほども述べた通り、ヒンズー教以外のフィジーの国民も一緒となってお祝いをするため、普段接点のないコミュニティの人々とつながる絶好の機会となっています。
日本人も周りにいる友達と一緒にパーティーに参加して、現地の人々と一緒にお祝いに参加することができます。国全体がお祝いムードの中、ホテルやホームステイ先の家の中で普段と変わらない生活を過ごすのではなく、街に出て現地の人々と一緒に花火を鑑賞しながら盛り上がってみてはいかがですか。
(参照:FIJI SUN ONLINE)
まとめ
フィジーの11月に行われる二つの祝日において、特定の宗教を信仰している人々のみがお祝いをするわけではありません。フィジーにいる宗教を信仰していない人、他の宗教を信仰している人もそれぞれの祝日に行われる行事に参加し、他の宗教について理解を深め、尊重しています。
多民族国家であるフィジーにおいて大きな対立することなく、多民族が共存できているのもこのような祝日に各地で誰でも参加することのできるお祝い行事があるからです。 日本人も11月にフィジーに行った際は祭典などの行事にマナー等を守った上で参加することができ、宗教について触れることができます。 日本では体験できない行事に参加し、現地の人々と一緒にお祝いをしてみてはいかがでしょうか。