<外交関係>フィジーとつながりの強い国 7選

フィジー基本情報
地理

フィジーは、他国と比べて人口が少なく、資源が特別に多い国であると言うわけではありません。しかし、主要産業である観光産業、砂糖産業、衣服産業が発展し、近年多くの観光客がフィジーを訪れているだけではなく、他国と貿易量も増えてきました。
その結果、GDPがオーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニアに次ぐオセアニア第4位にまで成長しました。

フィジーの経済成長の背景には他国の存在があり、他国と協力をしながら国を発展させてきました。他国の支えなくして今のフィジーはないと言っても過言ではありません。

そこで、フィジーがどのような国とつながりを持ち、どのような形で協力をしながら経済成長を遂げているのか紹介したいと思います。

1 日本との関係

フィジーと日本は、日本による経済協力もあり、国交樹立以降重要な外交・経済パートナーとなっています。
現在では日本からフィジーへの観光客・語学留学生が多くおり、文化交流も推進されています。

フィジーと日本の関係については、詳しくこちらの記事で説明しています。

国交樹立

日本とフィジーは、1970年のフィジーの独立と同時に国交を樹立しました。1979年には在フィジー日本大使館を開設し、1981年に在京フィジー大使館を開設しました。国交樹立から現在に至るまで両国間で大きな問題はなく、2020年に国交樹立50周年を迎えました。

フィジーと日本の経済関係

日本は、フィジーにとってオーストラリア・ニュージーランド・中国同様主要な貿易相手国となっています。日本からは主に自動車や機械類がフィジーに輸出され、フィジーからは木材や水産物(まぐろ類)が日本に輸出されています。

 

日本とフィジーの貿易量は2017年から2019年にかけて大きな変化はなく、フィジーにとって輸出・輸入先の相手国として日本は重要な立場にあります。

フィジーに進出する日本企業数に関しては年々増えており(平成30年時点 26社)、今後も増加すると考えられます。

フィジーと日本の経済関係は良好であり、今後も発展し続けると期待されています。

日本によるフィジーへの経済協力

日本はフィジーに対して教育、保健、生活インフラの整備など幅広い分野で経済協力を行なっています。資金援助だけではなく、技術協力も行われています。直近では、対フィジー草の根無償資金協力により小学校校舎1棟が建設され、教室備品も同時に提供されました。(2020年7月末 引渡式)

2016年にフィジーがサイクロンにより甚大な被害が発生した際、日本は緊急援助としてテントやスリーピングパッド等を緊急援助物資としてフィジーに送り、被災地の早期復旧と復興に力を入れました。

日本はフィジーの経済成長を支え、今後も継続的に必要とされる協力をフィジーに対して行う旨を発表しています。日本とフィジーは今後も友好協力関係を継続し、お互いの国の発展に欠かせないパートナーとしてあり続けるよう期待されています。

直通便の再開と観光客・留学生の増加

2018年7月に成田空港とフィジーを結ぶ直行便(火曜・金曜の週2便)が再開し、8時間〜9時間で乗り換えなしでフィジー・日本を行き来できるようになりました。これにより日本からフィジーへの渡航客(主な目的は観光と語学留学)が増え、日本人とフィジー人の交流の機会が増えました。

中国との関係

 

中国とフィジーの関係は2000年代初めに急激に発展し、現在も外交面、経済面で良好な関係を築いています。

2006年にフィジーにおいてクーデターが発生して以降、隣国オーストラリアやニュージーランドとの関係が冷え込み、新たなパートナーとして中国との関係が強化されました。フィジーにおける中国のプレゼンスは高まりつつあり、重要な外交パートナーとなっています。

国交樹立

フィジーと中国は1975年に国交を樹立しました。フィジーは、中国にとって初の太平諸国との国交樹立となりました。1976年に在フィジー中国大使館を設立し、2001年に在中国フィジー大使館を設立しました。

フィジーと中国の接近

国交樹立後、2000年代に入るまでフィジーと中国は重要な外交・経済パートナー同士ではありませんでした。
2003年に中国が太平洋諸国との外交関係の結びつきを強くすることを明言し、また2006年に温家宝国務院総理が太平洋諸国との経済関係を強化することを明言して以来、フィジーと中国が急速に接近することになります。

温家宝国務院総理は、太平洋諸国に対して経済協力を強化し、発展途上国である太平洋諸国との貿易における関税を撤廃することを約束しました。そして、フィジーに対する中国の経済協力が強化され、フィジーにとって中国は重要な外交・経済パートナーとなりました。

中国とフィジーの経済関係

フィジーと中国の国交樹立直後、フィジーから中国への輸出はなく、中国からフィジーへの輸出額も年間約2億円に過ぎませんでした。しかし、2002年にはフィジーから中国への輸出額(主に粗糖、丸太、合成繊維)が約1.2億円となり、中国からフィジーへの輸出額(主に織物、軽工業品、電子機器)は約26億円にまで伸びました。両国は、1997年に貿易協力協定、そして2001年に経済技術協力協定を結び、両国間の貿易、経済、技術協力を強化することで合意しました。

中国によるフィジーへの経済協力

近年、フィジー各地において中国によるインフラ整備が進んでおり、幹線道路や水力発電の建設に力が入れられています。中国は、フィジーに対して援助をすることでフィジーにある豊富な漁業資源を獲得しようとしていると見られています。実際に中国のフィジーにおける影響力は高まりつつあり、スヴァ港には多くの中国漁船が見られるようになっています。また、中国の国営企業とフィジー政府とのつながりが強くなっており、フィジーに進出する中国企業もあります。

2010年にエアパシフィック(現フィジー航空)とキャセイ航空の共同運航で香港から直行便が就航したことにより、多くの中国人がフィジーを訪れるようになりました。中国とフィジーの良好な関係が今後も続くことで、中国とフィジー間でヒトやモノの行き来がより一層盛んになると考えられます。

オーストラリア・ニュージーランドとの関係

 

オーストラリア・ニュージーランドは、フィジーと同じオセアニア地域に所属しており、フィジーにとって長年重要な外交・経済パートナーです。国同士の距離も近く、ヒトやモノの行き来は盛んに行われています。2006年にフィジーでクーデターが発生して以降、オーストラリア・ニュージーランドとの関係は一時冷え込みましたが、徐々に関係は改善されつつあります。

フィジーとオーストラリア

フィジーとオーストラリアは現在強力かつ永続的な関係を形成することができています。2019年9月には両国首相が治安、経済、政治面でお互いに協力し合い、両国間の人的交流を推進することでより強固な関係を結ぶことで合意しました。

フィジーとニュージーランド

フィジーとニュージーランドは、二国間貿易、観光、防衛、経済に関してお互いに協力し合い、近年は良好な関係を維持し続けています。ニュージーランドは、フィジーにある気候変動、災害、労働者の移動、教育、漁業、農業などの幅広い問題に対して支援を継続的に行なっており、フィジーの経済成長に貢献しています。

経済関係

フィジー貿易額 World Integerated Trade Solutions より

以上オーストラリアとニュージーランドのフィジーとの貿易額をまとめました。ちなみに、輸入相手国第1位はシンガポール、第2位は中国となっています。輸出相手国第1位はアメリカで、第3位は日本となっています。

 

フィジーにとって、ニュージーランドとオーストラリアは日本同様重要な貿易相手国となっています。

 

主にオーストラリアからは小麦、液化石油ガス、炭化水素の一種であるブタン、肉、紙がフィジーに輸出され、フィジーからは金や衣服がオーストラリアに輸出されています。

 

ニュージーランドからフィジーへの主な輸出物としては、電子機器、乳製品、マトン・ラム肉、野菜があり、フィジーからニュージーランドへは加工済みフルーツ・ナッツ、衣服、野菜、タバコが主に輸出されています。

観光・留学・仕事

国別フィジー渡航者数 フィジー統計局 Visitor arrival statics より

フィジ〜オーストラリアは直行便を利用して約4時間〜5時間、フィジー〜ニュージーランドは直行便を利用して約3時間と他国に比べて短時間で行き来できることから、多くの渡航者がフィジーを訪れています。表からも分かる通り、国別フィジー渡航者数は直近3年間で大きな変化はなく、オーストラリアが全体1位、ニュージーランドが2位と両国合わせてフィジー渡航者全体の過半数を占めています。

 

・フィジーとオーストラリア

 

3000以上のオーストラリア企業がフィジーを拠点とし、6万1000人以上のフィジーで生まれた人々がオーストラリアに住んでいます。フィジーとオーストラリアの間には様々な留学生・労働者交換プログラムがあり、留学生だけではなく、多くの期間限定の労働者やボランティアの人々が両国を行き来しています。

 

・フィジーとニュージーランド

周辺南太平洋諸国との関係

 

フィジーには、毎月ニュージーランドから3万人を超える渡航者がいます。ニュージーランドもオーストラリア同様フィジーとの間で様々な留学生・労働者の交換プログラムがあり、国同士の距離も近いことから多くの留学生がフィジーからニュージーランドへ、そしてニュージーランドからフィジーへ渡航します。仕事をニュージーランドで行うフィジー人も多く、大きな障害なくお互いの国で働くことができます。

 

オーストラリアとニュージーランドはフィジー同様ラグビー強豪国として有名であり、フィジーとスポーツを通しての交流もあります。お互いの国で代表の試合が行われたり、お互いの国のラグビーリーグでプレーする選手も多くいます。フィジーにとってライバルの国ではありますが、同じオセアニア地域に所属する国同士としてお互いに良い刺激を与えながらチームを強化しています。

フィジーは南半球のオセアニア地域に所属しており、333の島々からなる島国です。他のオセアニア地域の国々に囲まれており、フィジーの西側にはバヌアツ、東側にはトンガ、そして北側にツバルがあります。

フィジーは、周辺太平洋諸国とも関わりながら発展し続けています。

経済関係

フィジー貿易額 World Integrated Trade Solutionsより

 

日本、中国、オーストラリア、中国とは違い、トンガ、バヌアツ、ツバルに対しては輸出量の方が輸入量より多くなっています。表からも分かる通り、トンガとツバルからはほとんど輸入されておらず、輸出量の方が圧倒的に多いのが現状です。

 

トンガからは主に化学薬品が輸入され、トンガには石油が輸出されています。

また、バヌアツからは主に野菜が輸入され、バヌアツには穀物や小麦が輸出されています。

そして、ツバルとの貿易では、主に動物が輸入され、鉱物資源が輸出されています。

太平洋諸島からフィジーへの渡航者(オーストラリア・ニュージーランド除く)

国別フィジー渡航者数 フィジー統計局 Visitor arrival statics より

人数こそオーストラリアやニュージーランドと比べて劣りますが、太平洋諸島からフィジーへ毎年5万以上の渡航者がいます。距離が近いことでよりヒトやモノの移動がしやすく、交流の機会も増えています。

領土問題

ミネルバ・リーフ
 
フィジーとトンガの間でミネルバ・リーフの領有権を巡り対立しています。ミネルバ・リーフとは、フィジーの南、そしてトンガの南西に位置している岩礁のことであり、長年課題となっている領土問題です。
 
歴史
 

ミネルバ・リーフは、1852年にアメリカ人捕鯨漁師によって発見され、1942年にアメリカが占拠するまで領有している国はありませんでした。アメリカ占拠後、1972年1月にミネルバ共和国として独立が宣言されましたが、周辺国であるトンガ、フィジー、オーストラリア、ニュージーランドが独立を認めず、協議した結果1972年6月にトンガ軍が上陸をし、占領しました。しかし、翌月にはフィジー軍も上陸をし、トンガ軍に対して領有権を主張しました。両国による領有権の主張は続いており、現在ではミネルバ公国として再度独立を宣言する団体、フィジー、トンガの間で領土問題があります。

 

まとめ

本記事では、フィジーと深くつながりのある周辺国との関係について紹介しました。

今回紹介した国々以外ともフィジーは関わりを持ち、経済成長を遂げています。様々な国と支えあいながら大きく発展を遂げ、現在の世界一幸せな国フィジーがあります。
現在も発展途上国ではありますが、フィジーは今後も経済成長をし続け、観光大国として今まで以上に発展し続けると期待しています!

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